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川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』

ニシノユキヒコという一人の男の恋愛を、その相手となった10人の女性の視点から描いた連作短篇。 ニシノさんが主人公ではあるには違いないのでしょうけど、一人称は、彼と付き合っていたり、不倫していたりする女性なので、ニシノさんの内面の描写はなく、…

米村圭伍『風流冷飯伝』

冷飯とは家督を相続できない武家の部屋住みの次男坊。 幇間(たいこもち)とは宴席やお座敷などの酒席において主や客の機嫌を取り、自ら芸を見せ、さらに芸者・舞妓を助けて場を盛り上げる専門職。 この部屋住みの飛旗数馬と江戸から来た幇間の一八を中心とし…

町田康『パンク侍、斬られて候』

町田康の長編時代小説。 町田康の作品は、『実録・外道の条件』を読んだきり。グダグダなドライブ感の町田節にいまいち乗り切れず、しばらく敬遠していたのだけど、久しぶりに読んでみる。 しょっぱなの街道沿いらへんの描写は時代小説的な雰囲気が漂うもの…

鷺沢萠 『ウェルカム・ホーム!』

鷺沢萠をはじめて知ったのは中学三年の頃だったと思う。彼女の特集を組んだドキュメンタリー番組を偶然見たのだ。18歳で文学界新人賞を受賞した新進気鋭の女流作家の日常と作家活動に迫るといったよくある内容で、ほとんど忘れてしまっているが、友人と麻雀…

垣根涼介『ワイルド・ソウル(上)(下)』

1、2週間前、知人との会話の最中に、オレが珈琲ジャンキーであることに相手が「えッ、そうだっけ?」的な様子であったので、その珈琲ジャンキーぶりについて語りだそうとしたところ、ま、そんな話は別に興味ねーよ的な感じで、「そんなに好きなら、ブラジ…

筒井康隆『日本以外全部沈没 パニック短篇集』

「映画化の文字を見ると購買意欲喪失症候群」を患っている今日この頃、草なぎ剛主演で映画化された小松左京原作の「日本沈没」には一切見向きもせず、その沈没ブームに便乗して映画化された「日本以外全部沈没」を読む。6月に刊行されてほどなく入手困難な状…

恩田陸『夜のピクニック』

第2回本屋大賞受賞作品。 ようやく文庫化されたかと思ったら、帯には映画の宣伝が…。 なるほどそういうタイミングなわけね。ま、そういうもんか。 話の筋はごくごくシンプル。 一度も話したことのない同じクラスの異母兄妹と話をする。この一つの目的を、全…

村上春樹『海辺のカフカ』

文庫購入後、長期放置。なんとなく思い立って読了。 15歳の誕生日に家出をして四国のとある町の小さな私設図書館の片隅に身を置いて生活する「僕」と、幼少時のある体験がもとで文字も読めず、記憶も持たないが、猫と交流ができる老人ナカタさん。この二人を…

読了2006年7月

坂木司 『青空の卵』 ひきこもりで性格の悪い安楽椅子探偵の話だが、強引すぎる謎解きより、人情話の部分が面白くてディープ。メインキャラ2名の友情の描写もディープでちょっとアレ。 青空の卵 (創元推理文庫)作者: 坂木司出版社/メーカー: 東京創元社発売…

2006年5月読了

井上夢人/オルファトグラム(上)(下)(講談社文庫) 岡島二人/クラインの壺(講談社文庫) 岡島二人/99%の誘拐(講談社文庫) 笙野頼子/愛別外猫雑記(河出文庫) 船戸与一/山猫の夏(講談社文庫) 梨木香歩/西の魔女が死んだ(新潮文庫) 浅田次郎/椿山課長の七日間(朝日…