筒井康隆『日本以外全部沈没 パニック短篇集』

「映画化の文字を見ると購買意欲喪失症候群」を患っている今日この頃、草なぎ剛主演で映画化された小松左京原作の「日本沈没」には一切見向きもせず、その沈没ブームに便乗して映画化された「日本以外全部沈没」を読む。6月に刊行されてほどなく入手困難な状況と聞き、そのうち増刷されて平積みされるだろうと半ば忘れかけていたが、先日、書店でなんとなく目に留まり、購入。
表題作を含む短篇11作。読みながら、パニックとトラブルが連鎖する様子がリアルタイムで脳内スクリーンに勝手に映像化されてしまった。70年代に書かれた作品なので、ネタ元と皮肉っているポイントなどをすべて理解して読んだわけではないが、ここまで徹底的な大法螺ならもう笑い飛ばすしかねぇ。ドタバタした内容とちょっと冷めたタッチの文章のギャップも面白い。
一連の沈没ブームや『時をかける少女』の劇場アニメ化の影響で、筒井康隆短篇集が刊行され始めたのだとしたら、あの志茂田景樹の怪作『戦国の長嶋巨人軍』も映画化されたら、原作が復刊になるかもしれない・・・そして、そうなればいいなぁとかなり本気で考えてしまったのだった。


日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)

日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)