読了2006年7月


坂木司 『青空の卵』
ひきこもりで性格の悪い安楽椅子探偵の話だが、強引すぎる謎解きより、人情話の部分が面白くてディープ。メインキャラ2名の友情の描写もディープでちょっとアレ。

青空の卵 (創元推理文庫)

青空の卵 (創元推理文庫)


森絵都 『永遠の出口』
第135回直木賞作家の2004年度本屋大賞第4位の作品
傑作。
オレと同世代かちょっと上くらいの女の子の小学校3年から高校3年までの9年間を描いた作品なので、80年代のエッセンスがところどころに散りばめられており、小学校のお誕生会の話などは、鮮明に記憶がフラッシュバックしていたのであった。プレゼントがスケッチブックとか色鉛筆って!!そんなことしてたかも…。痛々しかったり、切なかったりも優しく素直な筆致で以て、一気に読める。

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

永遠の出口 (集英社文庫(日本))


グレッグ・イーガン 『宇宙消失』
シュレティンガーの猫を能力として体現できたらというような、量子力学不確定性原理からくる壮絶なアイデアのせいでクラクラしてしまいました。

宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)


若竹七海古書店アゼリアの死体』
歯切れよく、気持ちのいいテンポで展開していくストーリー。きっちりひねってあって、ブラックユーモアのスパイスもちょっぴりきかせてあって、上記イーガンのSFの口直しには最適の一冊であった。コージーミステリもロマンス小説も知らなかった。

古書店アゼリアの死体 (光文社文庫)

古書店アゼリアの死体 (光文社文庫)


テリー・ケイ 『白い犬とワルツを』
泣いた。

白い犬とワルツを (新潮文庫)

白い犬とワルツを (新潮文庫)


高山なおみ 『諸国空想料理店』
料理家としてku:nelなどの雑誌や料理に関する著書でおなじみの高山なおみが、『諸国空想料理店KuuKuu』のシェフとして腕をふるってた頃に、店のフリーペパーに書いた旅と料理にまつわるエッセイをちょっとしたレシピとともにまとめたもの。
とにかく文章が素晴らしすぎます。はたしてテレビに出ない市井の人だった頃の料理人の日常が読みものとして面白いかどうかは人それぞれでしょうが、誰もがひとつやふたつは心に抱いている食べものについての思い出を蘇らせてくれる1冊でした。筆者の旦那さんがつくったというサッポロ一番の塩、味噌、醤油を混ぜ合わせたラーメンが、最後まで気になってしょうがない。

諸国空想料理店 (ちくま文庫)

諸国空想料理店 (ちくま文庫)